FOSTEX Back-Loaded Horn Special Site

本田技研工業株式会社(以下:Honda)より好評発売中の軽自動車「N-BOXスラッシュ」に、フォステクスが音響設計面(サウンドマッピングシステム)においてHondaと共同開発したバックロードホーン型サブウーハーが搭載されています。是非ともお近くのホンダディーラーで、フォステクスこだわりのバックロードホーンサウンドをご体感下さい!

BK40H(B):ブラック

BK40H(W):ホワイト

バックロードホーンとは、スピーカーの箱の内部に、トランペットやホルンの様な音の通り道を作り、開口部に向けて断面積を徐々に大きくしていくことで、迫力ある低音を響かせるよう設計されたスピーカーボックスの型式の一種。スピーカーユニット(=音を発生するパーツ)の後方(=箱の内部)に発せられる音をそのまま利用することで、一般的な密閉型やバスレフ型スピーカーとは異なり、質の良い低音は勿論、音の立ち上がりの良さやボーカルの生々しさなど、バックロードホーンならではのリアルなサウンドを体感する事が出来ます。

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フォステクスが設立当初に発行していた季刊「エコーズに連載されていた故長岡鉄男先生によるバックロードホーン講座(全6回)をリバイバル掲載致します。第1回は1973年7月発刊のvol.3に執筆された内容を掲載致します。

正式にはバックローデッド、またはバックローディング、またはリアローデッド、リアローディングと色々呼び名はあるが、めんどくさいからバックロードでたくさんだ。ホーンロードの原理は理解しにくい点が多い。教科書には「ホーンによってロードをかける」なんて書いてあるだけで、これでは「スピーカーとは拡声器のことである」と言うのと同じで、説明にならない。そこで説明法を幾つか考えてみた。

 

〈 その1〉

振動板は個体であって、空気は気体である。まるっきり状態のちがったもの同士でのエネルギー受け渡しは難しいし、ロスが大きい。そこで仲介役を立てたらどうだろう。固体と気体の中間的存在、それがホーンだ。気体もうんと圧縮された場合や高速度の場合は個体に近い性質を示す。それが衝撃波や爆風である。第2図はホーンの略図だが、スロートの部分では空気はおし固められ、高速で動かされて個体に近い性質を示す。したがってエネルギーの受け渡しもスムーズだ。ホーンが広がるにつれて、個体の性質がやわらげられて、空気本来の性質に近付いてゆく。そして開口部で完全に気体らしい気体となる。こういう性質のお陰で、ホーンは個体の振動エネルギーを気体の音波エネルギーをスムーズに変換する仲介役となるのである。ロスが少ないので、ホーンは特に能率が高くなる。

 

〈 その2〉

ホーンは一種の降圧トランスである、パワートランスや、管球アンプのOPTは、高圧小電流を、低圧大電流に変換するが、ホーンにも似たような働きがある。やはり第2図を見てもらうが、スロートの部分では、空気はひどく狭い所に押し込められて、逃げ場がないので、押されたときは超高気圧、引かれた時は超低気圧になる。つまり気圧差大、非常に高い音圧で、少量の空気が働くことになる。ホーンが拡がってゆくにつれて、働く空気の量が増えると同時に音圧も低下、開口では低い音圧で大量の空気が動くことになる。まさにトランスであり、変換がスムーズなのでロスは少ない。

 

〈 その3〉

第2図のホーンで、高音はダイヤフラムから直ぐに音波となってホーンの中を進んでゆく。しかし低音はダイヤフラムからじかにスタートせず、ホーン内部の空気全体がダイヤフラムと一緒に振動し、開口部分でやっと音波となってスタートする。中音ではその中間ぐらいで音波としてスタートしているわけだ。だから、周波数に応じて、ロードが大きくなってゆくのに等しく、全域にわたって、効率よくロスが少なく、目立ったfoも現れない。

 

〈 その4〉

ホーンは無限のコルゲーションを持った、つまりエキスポ―ネンシャル、あるいはハイパーボリック・カーブを持った大口径コーン型ユニットと似た動作をする。高域ではボイスコイル付近が振動して音を出し、低域ではコーン全体が振動して重低音を高能率で再生する、中音は周波数に応じた口径の部分までが振動する。要するにメカニカル・マルチウェイだ。そしてコーンは重い紙であるのに対して、ホーンは軽い空気であるため一段と能率がよく、トラブルが少ない。特に過度特性、歯切れがよくなる。

 

以上の説明のどれひとつをとっても完全ではない。全部を総合して、まあこんなものかと、なんとなく納得してもらえばいいのである。ホーンには空気室、スロート、ホーンの長さ、ホーンの拡がり角度、開口面積といった多くのファクターがある。まずスロートについてはこう考えてみる。

 

第3図aのように非常に狭いスロートはなきに等しいので、音も出てこない。非常に広いス ロートはbのように、囲いつきの平面バッフルでしかない。原則として、コーンの面積の 1/2〜1/4 の断面積のスロートが適当と考えられている。これはユニットの能力によって左右されるわけだ。空気室は必ずしも必要ではないが、スロートを絞る関係で必然的にできてしまう。これも非常に小さければなきに等しいし、また、なくても構わないのだが、大きければ空気室の中だけで音波が発生し、吸収されてしまって、ホーンには伝わらなくなる。

 

第4図のように、内容積不足の密閉箱システムを、小部屋で鳴らしているのとなんら変わりないわけだ。ホーンをコーンにたとえてみると、ダイヤフラムはボイスコイルに相当し、スロートはコーンの根元に相当し、空気室はボイスコイルとコーンとのつなぎめのコンプライアンスに相当する。コンプライアンスが大きすぎるとボイスコイルだけが勝手に動いてしまってコーンが動かないように、空気室が大きすぎると、ダイヤフラムだけが勝手に動いてしまい、ホーンは動作しない。空気室はホーンの高域再生限界を決定するファクターである。高域までホーンで再生しよう、ホーンロードをかけよう、と思ったら、空気室は小さいほどよい。逆に高域再生限界を下げるには空気室を大きくすればよい。

 

以上はフロントロードホーンの場合だがバックロードホーンの場合は、低域はホーンから、中高域はフロントからダイレクトにという分配になる。そこで空気室をギリギリまで小さくして、中高域までホーンロードをかけたとすると、コーンの振動が抑えられるので、フロントからの中高域はレベルが低下する。そのかわり、バックからは充分に中高域が再生されるはずなんだが、音道がかなり長い折り曲げ型であるため、途中で減衰してしまい、ホーンからは中低域しか出てこない。上限はせいぜい300〜500Hzどまりである。つまり空気室の極端に小さいバックロードホーンは中高域のレベルが低下するわけだが、実際には空気室をあ る容積以下にすることは不可能なので、中高域のレベル低下はあまり気にしなくてよい。問題はむしろコーンからダイレクトに放射される音と、ホーンから放射される音とのバランスであろう。これについては次のように考えてみると分かりやすい。

 

第4図はバックロードホーンの1例である。aは空気室が小さく、300〜500Hzぐらいからロードがかかるタイプ。bは空気室が大きく、80〜100Hzぐらいからしかロードがかからない。

 

これに対して、第5図の実線のような裸特性のユニットを組み合わせてみると、それぞれa, bの点線の特性となる。

 

一方、第6図実線のような裸特性のユニットを組み合わせると、a,bの点線の特性となる。第6図aは最適、bは中低域不足でホーンの効果が薄い。

 

第7図aは中低域上がりすぎて、相対的に中高域不足の、張りのない、モタついた音になる。しかも、低域は締まりの悪い音になりがちだ。bは一見フラットでよさそうだが、よく見ると、ホーンの効果は小さく、これなら、バスレフで間に合うから工作の面倒なバックロードホーンの必要はないということになる。つまり、バックロードホーンに最適のユニットは、FEシリーズのような、高能率オーバーダビング、ハイ上がりで、低域不足のユニットなのである。それを大きすぎない空気室を持ったバックロードホーン型キャビネットに入れるということが使いこなしのコツなのだ。

 

ホーンの長さについては、バックロードの場合は2メートル前後でよい。ホーンが短いと、開口からの反射(折返し)の影響が強く出てくる。音波と限らず、水の波でも光波でも、あるいは人の波でさえ、進行途中で状態が変わると、必ず反射が起こるのである。ホーンが無限に長ければ反射はないが、適当な長さで切り落としてある関係で切口で反射が起きて、音波がスロートへ向って逆戻りする。そこで打ち消しあったり、強調したり、定在波が発生したりと、トラブルが起きる。これは室内での定在波と同じで、往復距離に比して、音波の波長が短い時は影響が少ない。ホーンでもある程度の長さを持たせておけば、波長の短い音波には 影響がない。理想的には長ければ長いほどいいのだが、部屋の壁をホーンの延長に使うと考えれば、実用的には2メートル前後でよいし、1メートルでもいけないことはない。バックロードでもうひとつの問題は、フロントから出る音と、ホーンから出る音の 位相だ。これはごく単純に、平面バッフルの場合と比較すると、バッフルでは半径1メートルあればまあまあということになっている。同じように、バックロードホーンでも1メートルあればまあまあ、2メートル以上ならなお結構ということだ。寸法的な制約その他もあって、バックロードのホーン全長は2メートル前後というのが手頃と思う。

 

バックロードホーンはほとんどが、コンスタント・ワイド(CW)のコニカルホーンをつなぎ合わせたものと考えて良い。本当のコニカルホーンはメガホンのように断面が円だが、CWホーンの断面は横巾一定、タテがだんだんのびてゆくような長方形である。カットオフは一応開口面積できまることになっているが、無響室ならいざ知らず、一般のリスニングルームでは、床や壁が有るので、これがホーンの延長として働く事が多く、正確なカットオフはわからない。これをイメージホーンなどと呼ぶが、部屋をうまく使えば、全長4メートル、カットオフ20Hzといったイメージホーンも可能である。次号からは実際の製作例を紹介していこう。(つづく)

長岡鉄男(ながおかてつお)1926年1月5日~2000年5月29日

 

クイズ作家、コント作家を経て1959年頃からオーディオ評論家として活躍されたスピーカー工作のオーソリティ。生涯に600種類にも及ぶ自作スピーカーの設計を発表している。また、生涯に保有したレコード、CD、LDの数は総計5万枚に及ぶと言われており、音楽評論家としてもいまだに多くのファンを持つ。

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