モニター思想の血統〜Gシリーズのテクノロジー〜
スピーカーシステムの持つ魅力、
それはパッケージに込められたアーティストの想いに、
時を超え、場所を越え、触れられることではないでしょうか。
エンジニアが、そして演奏家が魂を込めて送り出す音源に応えたい。
リファレンスとしてのスピーカーシステムを考えたとき、私たちは音声変換器である原則に立ち返り、徹底した歪みの低減と着色のない音を求め、まさに測定器たるスピーカーとして2004年春、RS-N2を送り出しました。現在、RS-N2はその精密とも言われる再生能力を評価され、主要放送局をはじめ制作現場でその活躍の場を与えられています。
そして、再生機器として正確性を追求したモニターシステムRSシリーズの誕生から、創造する音との融合をテーマにGシリーズが誕生しました。
高忠実再生をテーマに、再生から創造へ。
パッケージに込められたアーティストの想い・・・。新たな出合いを感じ、そしてその感動に浸る時、再生から創造へスピーカーシステムは昇華します。
可能性としての純マグネシウム
マグネシウムがもたらす音響素材と
しての可能性。それは、金属振動板
の持つ伝播速度の速さがもたらす音
の立ち上がりや密度の高い繊細感溢
れる再生を可能にしつつ、金属振動
板の弱点でもある、内部損失の低さ
による金属特有の響きを伴った鋭さ
を押さえたソフトで深みのある再生
が実現されることです。
こうした優れた特性を活かすために
近年になって、マグネシウム合金を
用いた薄肉の振動板が開発されてき
ています。
フォステクスではこのマグネシウ
ムの持つ優れた物性を最大限活か
すために、より理想を求め「純マグ
ネシウム」振動板の実用化にこぎつ
けました。
純マグネシウムは他の合金と大きく
その物性が異なり、両立の難しい大
きな内部損失と音速を実現している
音響用金属素材として理想的なバラ
ンスを持っています。
しかし、軽量・高剛性で振動減衰性
能が高い純マグネシウムは薄肉化や
成形などの加工が難しいことから実
用化に至りませんでした。
フォステクスでは特殊連続温間圧
延技術や、金型設計、温間深絞り加
工技術に加え、素材に特殊コーティ
ングしその潤滑効果により絞り性
を向上させ、プロ用モニターシス
テムRS-2に世界で初めて純マグ
ネシウムツィーターを搭載しました。
純マグネシウムの加工技術の開発は、
このツィーターにとどまらず、
G2000へ新たに創造する音楽との感
動とともに受け継がれて来ました。
Gシリーズのユニット群
●リッジドーム型純マグネシウムツィーター
G1300・1302、G2000とも、しなやかで厚みのあ
る再生と金属の持つ高い応答性を実現する純
マグネシウム振動板( 純度99.9% )を採用して
います。
G2000には、フロアスタンディング型に相応し
いエネルギー感を備えた直径25mmの振動板
を採用しました。
また、大型アルニコ内磁型磁気回路を搭載しア
ルニコ磁気回路ならではの艶やかで感情溢れ
る高域再生を実現しています。
G1300/G1302では、口径13cmウーハーとの
絶妙なバランスを醸し出す直径20mmの振動板
を使用し、小口径の持つ優れた指向特性ととも
にリアルにその音像を描き出します。
さらに、構造面からも徹底した固有の色づけを
排除するためにボイスコイルよりドーム先端
までの距離が異なる新開発のリッジドームを
採用してます。このリッジドーム形状は、最高
域領域まで大きなピークを発生することなく
ナチュラルに伸びた最高域を再生します。
肉声の実体感とピンポイントの音像定位は、目
の前に現れるアーティストの姿を身近に感じ
ることが出来るでしょう。
●純マグネシウムHRスコーカー(G2000)
成形加工が極めて困難な純マグネシウム素材
と強い特定周波数での不要共振の発生を抑制
するHR振動板との融合は、スピーカーが求め
る重要ファクターの解決策の一つとなりました。
高い伝播速度とともに適切な内部損失を確保し、
形状を素因とするピークを抑えた純マグネシ
ウムHRスコーカーは、高いSN感と音の粒の整っ
た再生を可能にし、深く静かに消え行くばかり
の表現も余すことなく再現します。
G2000ではこの優れた性質を最大限生かし、音
楽再生で最も重要な基音帯域を受け持ち、楽器
の持つニュアンスを正確に余すことなく再現
します。
●HR13cmウーハー(G1300 / G1302)
ウーハーにはフォステクス独自のHP振動板に新
たな抄紙技術と形状検討を加え、発展させたHR
振動板に高弾性カーボンをはじめ数種類に及ぶ
新素材を配合したハイブリッド素材を採用して
います。
また、磁気回路にはメインマグネット/ブースト
マグネットともにクラス最大級のφ120mmの
大型フェライト磁石を使用しています。
楽器の持つエネルギー感/高い応答性を追求し、
低歪みで優れたレスポンスを実現するショート
ボイスコイル仕様を採用しました。
G1302には、高レスポンスを有するショートボ
イスコイル仕様のウーハーとともに、最低域用ウー
ハーにロングボイスコイル仕様を採用し、異な
る2種類のウーハーによるトールボーイ型なら
ではの広がりと量感のある低域を再生します。
●HR20cmウーハー(G2000)
G2000ではG1300 / G1302のウーハーをベー
スに、受け持ち帯域に最適化された異なる2
種類の20cmHRウーハーを使用しています。
80Hzからの低い周波数を受け持つ低域ウーハー
には、深く沈み込む最低域の量感とともに、
音階を鮮やかに描き分ける能力を求め、φ
156mmのフェライト磁石2枚にブーストマグ
ネットを加えた強靱な磁気回路にボイスコイ
ル巻き幅27mmもの超ロングボイスコイル仕
様により明快で切れ味の良い低域表現力を実
現しています。
また、350Hzまでを受け持つ中・低域ウーハー
は、透明度と見通しの良い中高域とのナチュ
ラルな繋がりを実現するために、適切に軽量
化された振動系と強力フェライト磁気回路に
よるロングボイスコイル仕様により滑らかで
厚みのある中・低域を感じ取ることが出来ます。
※HPとは
HPとは、通称HP Shell(双曲放物曲面)または、HyperShell
と呼ばれている建築構造力学の分野では知られている3次曲
面構造です。
HP構造の基本的特長として、同一平面にない2つの線分間
を直線で結びながら移動させることにより、双曲面と放物面
が構成される点です。一見複雑な曲面ですが従来構造の曲線
で構成されている振動板と異なり、基本的に直線構造で構成
されています。
このため面内応力としてせん断力のみが存在し、曲げ応力が
働かないため高い強度が得られ、振動板の共振周波数が高く
なり従来の振動板に比べてスピード感のある立ち上がりの早
い音質を得られます。(図1)
さらに、この直線は異なる長さで構成されているために、
特定の定在波が振動板上に立たないので、ピークが発生せず
スムーズなレスポンスを実現しています。HP構造の特長とし
て、ねじれた曲面構造をとり、特定の大きな共振が発生しな
いため、スピーカ固有の色づけが抑えられます。
※複合材振動板
従来の木材パルプNBKPのみでは、繊維レベルでの結合力不
足による歪み音を伴っていました。これは、木材パルプコーン
が宿命的に抱えていた問題と考えられてきましたが、この問題
を解決するパルプ材として繊維径が細く長い上に結合力の高い、
バナナパルプをベース材に採用しています。複合材として、カ
ーボンファイバーの中でも特に超高弾性な性質を保有するファ
イバーを使用し、ダイアモンドと同等の16000mの伝播速度に
よって振動板の音速を高め、同時に曲げ剛性率を向上させてい
ます。
さらに、破壊強度を向上させるために、一般的なアラミド繊
維の2倍の強度を持つスーパー繊維PBOを加えています。
また、振動板は高い内部損失を得ながら伝播速度を上げる要素
をバランス良く得なければなりません。そこで振動板の表面の
伝播速度を向上させることを目的にパールマイカ(雲母)を配
合し、スピード感の高い音質を実現しています。
さらに、滑らかな右肩特性を実現するためには、振動板には
適度な厚さ剛性を取らなければなりません。この厚さ剛性と伝
播速度の両立は、困難とされてきた技術課題のひとつです。
G1300では、伝播速度を落とさずに理想の内部損失を得る
ためにセルガイアパルプを採用し、材料の伝播速度を低下させ
ずに内部損失を向上させています。このさまざまな素材とパル
プとの結合力を高め、従来コーンでは得られなかった高い気密
性のある振動板を成形するために、バイオセルロースを結着剤
として配合し、さらに耐湿性を飛躍的に改善するため、新配合
の特殊ニトロセルロース系材料を採用し今までに無い耐湿性を
実現しています。
高品位ネットワーク
ネットワーク素子にクラスを越えた高音質素子
を使用した贅沢設計です。すべての結線に金メッ
キスリーブによる圧着処理を行い、音質阻害要因
を徹底して排除しています。
さらに内部配線材には、高音質の銅・銀合金線を
使用し力強さと繊細感を追求しています。
またツィーターのネットワーク回路には、幅広い
音楽ジャンルに対応するために、MID/HIコント
ローラーを組み込んでいます。このコントローラー
はツィーターの全帯域を減衰させずに、音楽再
生に重要な中・高域のみを+1〜−2dBの範囲で
音質劣化無く調整を可能にします。
バイワイヤリング入力
高音質銅・銀合金ショートケーブル入力端子は
接点の損失を考慮し一般に多く用いられる真
鍮ではなく、銅削りだしの金メッキターミナルターミナルを使用
しています。
また、バイワイヤリング接続をしない場合のショー
トバーによる音質変化にも細心の注意を払い、
内部配線にも使用している銅・銀合金線を使用
してシングルワイヤー接続時にも入力からのトー
タルの音質調整と劣化を防いでいます。
ブナベース合板ベースのキャビネット
楽器の持つ美しい響きを再現するためにキャビ
ネットには木の響きを大切にし、高い強度と素
直な共振スペクトルを持つ18mmブナ合板をベー
スにしています。
G1300は、バッフル・天・底・側板にこのブナ合
板を用い、裏板には不要振動を逃がしキャビ
ネット自身で発する濁りを押さえるために高品
位MDF材を配置しています。
また、G1302ではバッフルに、18mmのブナ合板
を使用し、天・底・側板には豊かな響きと剛性を高
める目的で、9mm厚の板をあえて張り合わせ
し再合板化した18mm厚のパーチクルボードを
使用。裏板には15mm厚のMDFを配し強度分布
を最適化しました。
さらにより大型のG2000では新たに楠・ユーカ
リ合板をブナ合板に貼り合わせた33mm厚のバッ
フルを使用し、天・底・側板は9mm厚を3枚を再
合板化したパーチクルボードを使用しました。
また、仕上げにはバッフルに特長ある木目を持
つサテンシカモア※を使用し、側板にはブナの
柾目天然突き板にピアノ光沢塗装仕上げとし
ました。
※G1300は、ブナ柾目突き板仕上げです。