AO FILED RECORDING GUIDE-5

 もう夏は終わりかけています。私的にはとても嬉しい!!何故かと言うと海が混んでいるからです。鵠沼では海水浴場でもボディーボードはやってよいことになっていますが、とにかく人数が多い事。他のボードがないのは嬉しいのですが、あまりに多いのでついやめてしまってます。まあもうすぐ秋になるので落ち着く事を願っている毎日です。

 さて、私はといえば、都内にでる仕事がない日は逗子のsurfersというbeach houseでPAをしています。今月の頭にちょっと今までやっていたことが、くつがえるような出来事が有り、PAに関しては、もう自分の以外は止めようと思っていたのですが、surfersでやることにより自信が戻って来ました。system的にはかなりミニマムな感じなのですが、この中でmonitor、表の音を限界まで良くする、ということを考えやってきました。

結果musicianはいつも気持ち良いと言ってくれています。まぁmonitorも重要なのですが表の音がまず良くないと気持ちよくはないんです。このブレンド具合が重要!これは経験に勝るものはなく、ひたすらPAをしながらDATAを集めて行く地道なやり方です。今回はいろいろ勉強になってます。かなりのスキルアップができたと感じています。まあ毎日海を見て、レベルの高い音楽を聞いていれば自然にpower upしますよねー。surfersありがとう。

さて今月は時田和之さんのSE録音のお話をしていきましょう。

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1、蒸気機関車(SL)の音を録音する

 先月も御紹介を少しした時田さん。今回はアサヒソノラマ時代のお話を書いて行きましょう。ソノラマではソノシートというとても薄いビニールのような盤を作っていたのです。雑誌の付録などで当時はよく付いていました。これは音質的にはあまり良くなかったのですが、安いし曲げても壊れにくいので、高かったLPよりは買いやすかったようです。ただし仕事的には、この付録の為の録音がメインではなく、あくまでLPレコードの録音がメインだったようです。蒸気機関車、お祭りなど、月刊で3年ほどお仕事をされていたようです。月刊でSEのレコードを出す、と言う今では夢のようなお仕事のお話ですね!なんか羨ましい感じです。

 この中で当時録音を目指す、または趣味で録音をする人達の憧れの対象が蒸気機関車(以下SL)です。録音が流行りはじめた当時はSLがもう無くなってしまう、そんな時代だったのかもしれません。私が学生のころによんでいたtape soundという雑誌などでも、一番の記事はSLでした。時田さんは丁度この頃ウーヘルというrecorderを購入して使っていたといっています。当時のオープンリールタイプですと4200という機種でしょうか?調べてみるとけっこうかっこよい。とても洗練された格好をしています。なんか専用の革caseもありますね。これを持って録音に出掛けていたのでしょうね。SLが廃線になる、ということで北海道から九州まで10何種類のSLの音を録音したそうで、ソノラマやLPも出したそうです。

2、まずは通過音を録音する

  やはりまずは通過音ですね。当時ステレオを買うと(一体型のものが、私の子供時代は多かったんです)かならず7inchの33rpmのレコードが付いていました。ここにはSLの音を始め、ステレオならではの音源が両面に入っていました。こういうものを時田さんが録音していたんだ、と思うと嬉しくなって来ます。当然Stereo録音ですからマイク2本を立てる訳です。ですが初めて録音するのですから、マイクの角度、距離、高さをいろいろ変えて一番良く録音できるまで調整します。SLが今の電車のように何分おきに来るという時代ではないでしょうから、早くて30分に1本、場合によっては1~2時間に1本、路線によっては1日に1本、というところもあったようで、このような路線では何日も録音に時間がかかったようです。音のダイナミックレンジなども録音してみないとわからないので大変だったようですね。

 通過音をとるコツですが、やはりある程度マイクは距離をおいた方が良さそうです。まぁこれも場所によるそうですが、山間部などのSLのスピードが遅めの場所と平野での割りとフラットでスピードが出やすい場所では当然マイクの距離も違って来ます。この辺りは何m離したら良い、とは一概に言えないそうで、とにかく試してみて!ということしか言えないですねー。
 当時は基本的にダイナミックマイクです。ですので感度は恐らくあまり良くなかったものと想像できます。よって遠くからやってくるSLのドラフト音などはけっこうレベルを上げて録音しないと録れなかったとおもわれます。もし現在SLがあったらSHOPESのSTEREO MICなどでも録音してみたいな-、と仰られておりました。

 さて距離のほかに大事なPOINTがあります。それは手コンプ(コンプレッサー)。どういうことかと言いますと、SLの通過のときにテストで最大レベルを決めます。まぁ歪んだりしないように皆さんやることですよね。ただしこれでは先ほど言いましたが、向ってくるドラフト音などは感度が低いマイクではほとんど聞こえて来ませんよね。よって最大録音レベルを決めたままで録音するとSLが通り過ぎる瞬間しか録音できない可能性があり、近付いて遠のいて行くあの力強さが録音できません。よって最大録音レベルをきめた後は、弱い音はFADERである程度ボリュームを稼いであげて、通り過ぎるときは最大録音レベルに戻し、通過したあとはまたFADERでフォローしてあげると迫力のある通過音がとれるそうです。まあ手動でコンプをかけたような状態なので手コンプといっています。ここでの問題点は、周りのAMBIENCEの音も上がってしまう、ということですよね。これに関しては聞いている対象がSLの音なので人はその音に集中していますから、急激ではなくAMBIENCEの変化もスムーズになるようにこころがけてFADER操作をすることが大事になってきます。これに関しては通過音全般に応用できることなので、皆さん練習あるのみです。自然に迫力のある音を目指して下さい。

3、添乗音をとる!

 さて、臨場感あるSLの音を録音するには運転席に乗るのが一番ですよねー。当時は国鉄にこのような仕事をしたい、ということで申請をすると、運転席まで乗せてくれたそうです。ただし録音機はSTEREOなので毎回どこにマイクを仕掛けて録音するかを悩んだそうです。まず録音する前にSLをチェックして、大体どこに付けるかを確認してきます。まぁロケハンですね。その後はまず金物屋に行くそうです。現在では風防がしっかりしているので、ある程度録音できますが当時はライコートなどが無かった時代なので全部自分で自作したそうです。時速100KM/Hもでますので風速もかなりのものになりますよね。当然ストッキングなどではかないません。ので金物のザルを改造したりいろんな事をしたそうです。

 STEREOと言いながらもいっぺんに色々な音を録音したいのでSPLITで録音していたようです。毎回置く場所を変えて録音していたので、ある路線を録音しようと思えば、やはり数日はかかってしまう作業ですね。熱でマイクをダメにしてしまったり、付け所が悪く、落としてしまったり・・・かなり難しい様です。添乗音のなかでやはり迫力のある音は風切り音。力強いドラフト音をBASEに風を切る音がしっかり録音できれば最高でしょう。ただし先ほども言いましたが、風速は半端ではありません。色々なものを試したなかで良かったのはパンチボードだそうです。細かい穴があいたボードで、このなかにマイクを入れて風除けします。これはかなり有効で風の音もうまく録音できるそうです。木製が良いかステンレス製が良いかはやってみないとわかりませんねー。まあこの考えは現在の録音にも通じることです。通常のライコートとウインドジャマーで全て録音できるかといえばそうではありません。やはり風速が強いところではなかなかうまく録音はできないと思います。色々と工夫することにより、いまあるものよりもっと良いものが作れるかもしれませんねー。

 録音したあとは膨大な素材を細かくMIXして迫力のあるLPレコードを作っていたんですねー。あー感謝!最初にもお話しましたが私の家にはビクターのSTEREOがありました。一枚のレコードが付いていてここの最初にSLの音が入っていました。左のほうからゆっくり近付いて来て目の前を通り過ぎ右に去って行く・・・このレコードを何回も何回も聞いたものです。これが小学校3年くらいだったでしょうか。このころから録音に夢を持っていたのかもしれません。

4、波の音を録音する

 さて今月はもうひとつ、波の音をとる秘けつを教えていただきました。波の音は私もずっと追っているテーマでもあります。なかなか心地よい音が録音できないものなんですよねー。どうしても耳で聞いた音とは違ってしまうんです。そこで秘けつを聞いてみました。

 まずは当たり前ですがロケハンです。今回はどのような波の音を録音するのかをはっきりさせておきます。まずは地形をみます。後ろ、横はどうなっているのか、まあこれは波の音をとりまくAMBIENCEのことです。地形によっては反射してくる音がどれくらいブレンドされるのかが大事になってきます。そして岩なのか砂浜なのかをCHECK、これは当然ですよね。一番難しいのが生活音です。海岸は静かですが、以外と周りの音がうるさかったりしますから場所選びはかなり重要です。

 波は崩れる時に音を発生します。いわゆる波頭がきれいに崩れればザーというおとがするわけです。もちろん凪ぎの時は音が出ませんよね。ということはかなり波の発生する要員を有る程度把握しておく必要があります。波頭が崩れるということがサ-フィン用語でいうと割れる、ということになります。一般的にサーフィンがやりやすい時間帯は干潮の前後2時間くらい、と言われていますので、割りとサーフィンをやる時間帯に近い方が良い音が録音できる可能性があります。録音するにあたっては、ある程度波打ち際からはなれたほうが良さそうです。これは波打ち際の音を避けることでもあります。まあ狙いによっては近付く事も大事になってきます。場所によっては潮周りの時間帯で音が大きく変わりますから、これ位の潮のときはこんな波が立ってくるんだ、ということをある程度調べておいた方が確実になります。

 たしかに偶然いってみたらとっても良い波がたっていて良い音が録音できた、ということもあるとおもいます。とくにFIELDではドキュメンタリー性も重要な要素です。が、やはりしっかりとした下調べが大事だよ、と時田さんは言っています。当然地域に依っていろんな波の音があります。私がよくいっていた宮古島の東ヘンナ崎の漁港。ここではナリサの綺麗な音が録音できます。ナリサとはサンゴのかけらが浜辺に打ち寄せて、それがカラカラと心地よい音をたてることからナリサと呼ばれています。この心地よいナリサの音はやはり春の穏やかな海でないと録音できないんです。ですからあてずっぽうにいってもできません。こんなことは何回もいってみないとわからないことですよね。下調べ+偶然性、FIELDはこれにつきますかねー。

 一度時田さんがハワイのノースショアで録音した波の音を聞かせてもらった事が有りました。マイクはノイマンのRMS190、これをステラDATで録音したもの。これが物凄い音で、地鳴りから聞こえて来てそのあと波のブレイクする音が炸裂していました。単純に聞けばこんなところにサーフィンは絶対したくないなー、というような音。サーフィンしながら時田さんのsystemで録音したら、どんな音が録音できるなか、こんな事を最近では考えてます。まあ絶対にできませんけどねー。

さて今月はこんな感じです。来月は車の音を録音するをテーマに書きます。お楽しみに!!

 
 
 
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